韓国の正月、または旧正月(설날、Seollal)は、家族が集まり、伝統的な食べ物を楽しみ、先祖を敬う重要な祝日です。この記事では、韓国正月の食べ物、2024年の正月がいつか、過ごし方、正月休み、年に2回の正月、旧正月、正月における旅行、そして日本と韓国の正月の違いについて網羅的に解説します。
韓国正月の読み方・呼び名
韓国では正月を祝う日に複数の名称があり、それぞれが特定の意味を持っています。主に「설날(ソルラル)」、「신정(シンジョン)」、そして「구정(クジョン)」の3つの言葉が使われます。これらの用語は、新年を祝う時期や方法によって異なります。
신정(シンジョン)- 新正月
「신정(シンジョン)」は、グレゴリオ暦、すなわち新暦の1月1日を指します。これは世界的に新年として広く認識されている日で、韓国でも公式の休日として祝われます。新正月とも呼ばれ、新年の始まりを祝う日です。
구정(クジョン)- 旧正月
「구정(クジョン)」は、旧暦、つまり太陰暦の1月1日を指し、韓国ではこの日を中心に3日間の休日が設けられます。新正月(신정)に対して旧正月(구정)と呼ばれ、毎年太陰太陽暦に基づいて1月末から2月中旬の間に祝われることが多いです。この期間は、家族が集まり、伝統的な食事を共にし、先祖を祀るなどの伝統的な行事が行われます。
설날(ソルラル)- 正月=旧正月
「설날(ソルラル)」は、旧暦の新年の日、つまり「구정(クジョン)」を指します。しかし、「설날(ソルラル)」はより広く、新年を祝う全般的な意味合いで使われることが多い言葉です。「설날(ソルラル)」は「구정(クジョン)」と同義であり、家族が一同に会して新年を祝う韓国の最も重要な伝統的祝日の一つです。「설날(ソルラル)」は「구정(クジョン)」や単に「설(ソル)」とも呼ばれ、新年を迎えるにあたり、家族や親族が集まる大切な時期とされています。
韓国のお正月料理:伝統的な味わい
韓国のお正月には、家族が集まり、特別な料理を共にすることで新年を祝います。日本のお正月料理に相当する、韓国独自の伝統的な料理を紹介します。
떡국(トックッ:餅スープ)
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お正月に欠かせない「떡국(トックッ)」は、韓国のお雑煮にあたる料理です。韓国の餅「トック」を薄く切ったものを透明なスープに入れて煮込みます。このスープには、家庭によって餃子のような「만두(マンドゥ)」を加えることもあります。新年だけでなく旧正月にも食されるこのスープは、韓国では新年を迎えると年齢を一つ重ねるという風習があり、「トックッ」を食べることで一つ歳を取るとも言われています。
전(ジョン:チヂミ)
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「전(ジョン)」は、野菜や海鮮、肉などを小麦粉や卵でとじて焼いた、韓国版のお好み焼きです。日本では「チヂミ」として親しまれていますが、韓国では「ジョン」と呼ばれ、お正月を含む様々な祝日や集まりの際に作られます。具材は家庭や地域によって異なり、多様なバリエーションが楽しめます。
잡채(チャプチェ)
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「잡채(チャプチェ)」は、サツマイモで作られた透明な麺を、色とりどりの野菜や肉と一緒に炒めた料理です。もちもちとした食感の麺と、野菜や肉の旨味が絶妙に絡み合い、お正月だけでなく、誕生日や祭祀など、特別な日に食べられる人気の料理です。
갈비찜(カルビチム)
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「갈비찜(カルビチム)」は、骨付きのカルビを甘辛いタレでじっくりと煮込んだ料理で、肉が柔らかく、味がしっかり染み込んでいます。長時間煮込むことで、肉はホロホロとして口の中でとろけるような食感になります。お正月の食卓を豪華に彩る一品です。
これらの料理以外にも、ナムル(和え物)、シッケ(甘い飲み物)、牛肉と大根のスープなど、韓国のお正月には様々な伝統料理が登場します。家族や親戚が集まり、これらの料理を囲んで新年の幸せを願うのが韓国のお正月の風景です。
韓国のお正月休みはいつ?
韓国では、お正月休みを「설연휴(ソルヨンヒュ)」と呼びます。설연휴(ソルヨンヒュ)の期間は毎年異なりますが、一般的には구정(クジョン)の前日から始まり、구정(クジョン)を含む3日間です。
2024年〜2030年までの韓国のお正月休み
年度 | 休み期間 |
---|---|
2024年 | 2月9日〜2月12日 |
2025年 | 1月28日〜1月30日 |
2026年 | 2月14日〜2月18日 |
2027年 | 2月6日〜2月9日 |
2028年 | 1月26日〜1月28日 |
2029年 | 2月12日〜2月14日 |
2030年 | 2月2日〜2月5日 |
韓国正月の過ごし方
韓国の正月の過ごし方は、家族が一堂に会し、伝統的な儀式や料理で新年を祝う、とても家族中心の時期です。特に重要なのが、先祖を敬う儀式「차례(チャレ)」と、家族や親戚が集まって食べる「떡국(トックッ)」です。
正月の準備と食事
正月の前日、家族は一緒になって、翌日の祭祀のための食事の準備をします。この準備には、伝統的なお餅スープ「떡국(トックッ)」の準備も含まれます。
차례(チャレ):先祖を敬う儀式
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旧正月の朝、家族は正装をして、先祖を敬い奉るための차례を行います。供え物や果物を祭壇に並べ、家族全員で先祖に対して最も丁寧なお辞儀「큰절(クンジョル)」をします。この儀式は、家族の絆を強め、先祖への敬意を示す重要な行事です。
성묘(ソンミョ):お墓参り
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차례の後、家族はお墓参りに出かけます。韓国では土葬が一般的で、お墓は丘のように盛り上がっています。ここでも、家族は再び큰절を行い、先祖に対する敬意を表します。
세배(セベ):新年の挨拶
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お墓参りから戻ると、家族は新年の挨拶「세배」を行います。特に子供たちは、祖父母に対して큰절をし、「세뱃돈(セベットン)」、つまりお年玉をもらいます。この時、子供たちは健康や長寿を願う言葉を祖父母に伝えます。
正月の遊び
食事の後は、家族や親戚で正月の遊びを楽しみます。「윷놀이(ユンノリ)」や「화투(ファトゥ)」など、伝統的なゲームで盛り上がります。これらの遊びは、世代を超えて楽しめるため、正月の楽しみの一つです。
韓国の正月は、伝統と家族の絆を大切にする文化が色濃く反映された時期です。食事の準備から祭祀、遊びに至るまで、すべてが家族の絆を深めるためのものであり、韓国の文化を体験する絶好の機会となります。
韓国はなぜ正月を2回祝うのか
韓国が正月を2回祝う理由は、国が近代化する過程で新暦を採用したにもかかわらず、多くの伝統的な習慣や祭りが旧暦に基づいているためです。新暦の導入は、国際的なビジネスやコミュニケーションを容易にするためでしたが、旧暦に基づく伝統的な祭りや習慣は、韓国の文化とアイデンティティの重要な部分として残りました。
このように、韓国では新旧二つの暦が共存し、それぞれの正月が異なる形で祝われています。신정(シンジョン)は新しい年の始まりを祝う一方で、설날(ソルラル)は家族の絆を確認し、伝統を重んじる韓国独自の祝日となっています。
韓国正月の旅行:知っておくべきこと
신정(正月)と 구정/설날(旧正月)
韓国では、新暦の新年(신정/シンジョン)は特に大きな変更なく通常通りの生活が行われますが、旧暦の新年、すなわち구정(クジョン)または설날(ソルラル)には多くのお店が休業になります。この時期は、韓国の多くの人々が家族と過ごすために故郷へ帰省するため、電車や高速道路、空港などは大変混雑します。
旅行の計画
旧正月期間中に韓国を訪れる場合は、ソウルなどの大都市では人が少なくなり、いつもよりゆっくりと観光を楽しむことができるかもしれません。しかし、休業しているお店が多いため、食事やショッピングの計画は慎重に行う必要があります。
旧正月期間中の観光
旧正月期間中でも営業している観光地や、旧正月ならではのイベントを開催している場所もあります。例えば、国立民俗博物館では旧正月にちなんだイベントが開催され、伝統遊びの体験や伝統的な食べ物の試食が楽しめます。また、ソウルの主要な古宮は入場無料になることがあり、伝統衣装を着た人々を見ることができる貴重な機会となります。
日本と韓国の正月の違い
日本と韓国の正月は似ているようでいて、異なる点が多くあります。それぞれの国の正月の特色と、文化的な背景について比較します。
- 祝日の違い:
- 日本: 西暦の1月1日に新年を祝う。
- 韓国: 陰暦の1月1日の旧正月(설날、ソルラル)に新年を盛大に祝う。
- お祝いの方法:
- 日本: 年神様を迎えるため、門松やしめ飾り、鏡餅を飾る。
- 韓国: 先祖を敬い奉る「차례(チャレ)」儀式を行い、歳拝(세배、セベ)と呼ばれる挨拶のお辞儀をする。
- お正月料理:
- 日本: お節料理が中心。黒豆、数の子、ごまめなどが含まれる。
- 韓国: お餅のスープ「떡국(トックッ)」が主食。長寿や財力を願う意味がある。
- お年玉:
- 日本: 子供たちが親戚からお年玉をもらう。
- 韓国: 子供たちは歳拝後にお年玉(세뱃돈、セベットン)を貰う。
- 伝統的な遊び:
- 日本: 初詣、凧揚げ、羽根つきなど。
- 韓国: 윷놀이(ユンノリ)、연날리기(ヨンナリギ)、널뛰기(ノルティッギ)、제기차기(チェギチャギ)など。
- お正月の過ごし方:
- 日本: 家族や親戚が集まり、のんびりと過ごす。
- 韓国: 家族や親族が集まり、차례(チャレ)儀式や歳拝(세배、セベ)を行い、伝統的な遊びを楽しむ。
- お供え物:
- 日本: お供え物としてお節料理を用意する。
- 韓国: 차례상(チャレサン)に20種類を超すお供え物を用意し、供える位置が決まっている。
まとめ
韓国の正月、特に旧正月(설날、Seollal)は、家族の絆を深め、伝統を尊重する大切な時期です。この時期は、新しい年を迎え、先祖を敬い、家族と共に過ごすことで、韓国の文化と伝統の美しさを再認識する機会を提供します。日本とは異なる韓国独自の正月の祝い方を理解し、その豊かな文化を学ぶことは、両国間の理解を深める一歩となるでしょう。