こんにちは、15韓国語の編集長で韓国語ネイティブ『ナ先生』です!
みなさんは「韓国語」と「朝鮮語」の違いを考えたことはありますか。形や音が似ているようで実は異なる点も多く、さらに両者は共通の文字体系であるハングル(한글 ハングル)を使っているのが特徴です。ここでは両言語がどのように形成・進化し、どう使われ分けているのかを見ていきましょう。
なぜ韓国語と朝鮮語は似ているようで違うのか
韓国語と朝鮮語はいずれも朝鮮半島にルーツを持ちますが、歴史的・社会的・政治的な要因によって変化し、その結果として語彙や発音に違いが生じています。南側の地域(大韓民国)で話されるのが一般的に「한국어」または「韓国語」、北側の地域(朝鮮民主主義人民共和国)で使われるのが「조선어」または「朝鮮語」と呼ばれます。
南北分断前:朝鮮王朝時代の言語
朝鮮半島には古来から朝鮮語系統の言語がありました。とくに朝鮮王朝時代には、共通言語としての大きな枠組みが形成されました。しかし20世紀に入り、南北分断という政治的状況が大きなターニングポイントとなりました。南北が別の道を歩むことで言語にも差が生まれたのです。
韓国語(한국어 ハングゴ)の特徴と発展
韓国語は、主に大韓民国(南側の地域)で話されています。英語や日本語など外来語を積極的に取り入れることで、新語やカタカナ由来の表現が日常会話に数多く浸透しました。たとえば「コンピュータ」は「컴퓨터」や、「アイスクリーム」は「아이스크림」などと音写しています。
語彙の充実と外来語の積極的受容
- 外来語:컴퓨터(コンピューター)、티셔츠(Tシャツ)など
- 英語からの借用:핫도그(ホットドッグ)など
また、韓国では漢字語も依然として数多く使われていますが、日常表記ではハングルのみを使用するのが一般的です。公文書や新聞では漢字を補助的に使うケースもある一方、若い世代はほとんどハングルの表記のみで日々の生活をしています。
朝鮮語(조선어 チョソノ)の特徴と発展
朝鮮語は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)で用いられています。韓国語と同様、もとは同じ朝鮮語からの派生ですが、政治・文化の独自路線により、語彙や発音などに独特の変化が生じました。特に外来語の排除が顕著で、可能なかぎり朝鮮固有の単語を使うよう努めているといわれています。
外来語の排除と新語創出
- アイスクリーム:얼음과자(氷の菓子)
- コーヒー:향기음료(香りの飲み物)といった例も報告されています
このように朝鮮語では漢字や外来語をできるだけ使わず、代替語を造語・普及しているのが大きな特徴です。また、文法的なベースは同じでも、新たに作られた単語や独特の発音習慣により、韓国語話者とのコミュニケーションが困難になる場合もあるとされています。
ハングルは共通?—文字は同じでも呼び方と使い方が違う
ハングル(한글 ハングル)は15世紀の朝鮮王朝で作られた文字体系です。南北ともに基本的には同じ文字を使っているものの、呼び名や使用法は異なる部分があります。北朝鮮側では「조선글」と呼び、南側では「한글」と言うのが一般的です。
漢字使用の有無
- 韓国(南):小学校レベルで漢字を教えるが、日常ではハングル表記が主流
- 北朝鮮(北):漢字はほとんど使わず、全てハングル表記を徹底
実際の語彙の違い:比較例
韓国語 | カタカナ | 意味 |
---|---|---|
컴퓨터 | コムピョト | コンピューター(韓国) |
콤퓨터 | コムピョト | コンピューター(朝鮮語で別の音写を試みる場合がある) |
아이스크림 | アイスクリム | アイスクリーム(韓国) |
얼음과자 | オルムグァジャ | 氷の菓子=アイスクリーム(北朝鮮) |
こうした語彙例からも分かるように、同じ外来の概念でも南北でまったく異なる単語が使われるケースがあります。
現状と未来:韓国語と朝鮮語はどう変わっていく?
相互理解度の低下
分断後およそ70年以上経過し、南北で異なる言語政策が続いた結果、両者の語彙・発音・文法には徐々に開きがあるといわれています。現状でも基本的な会話は通じるものの、専門用語やスラング、政治的・社会的な言葉などは相互理解が難しくなりつつあります。
統一への道のりと言語
将来的に南北の交流が進み、統一の可能性がある場合、言語面でのすり合わせが必要になるかもしれません。互いの言語がさらに diverge(発散)するのか converge(収束)するのかは、政治・社会状況に大きく左右されるでしょう。
まとめ:韓国語と朝鮮語、それぞれの歴史と社会を背負った「同源の言語」
韓国語と朝鮮語は、朝鮮半島に根ざす同じルーツを持ちながら、南北分断などの歴史・政治的要因により異なる方向へ進化してきました。それでもハングル(한글)は共通の文字体系として存在し、ある程度の相互理解が可能です。一方で、外来語や漢字の受容度、語彙の創出、発音習慣などで大きな違いがあるため、そこに南北の文化・社会のリアルが映し出されています。
両者を学ぶと、同源言語でありつつ、社会の歩みがいかに言語に影響を与えるかがよく分かるでしょう。韓国語を深く学ぶ際にも「朝鮮語ってどう違うの?」という視点を持つと、言語学的にも文化的にも新たな発見があるはずです。